特定外来生物による生態系等に係る被害の

防止に関する法律及びカエルツボカビ症に関する

アンケート調査
(2007年版)

 

 

 

 

 

 

調査結果報告書

 

 

 

 

 

 

平成20年8月

 

ぶりくら事務局

 

 

1.調査の目的
 本調査は平成17年6月に特定外来生物による生態系等に係る被害の防止に関する法律(以下「外来生物法」という)が施行されたことにより、本法の影響を大きく受けるであろう飼育者の現状及び動向を把握することにより、本法のより良い運用に資するための資料作成を目的とする。また、平成18年6月に改正された動物の愛護及び管理に関する法律(以下「動物愛護管理法」という)の施行に伴う飼育者等への影響及びカエルツボカビ症に対する一般飼育者の認識や実態について、あわせて調査を行うものである。

2.調査方法
 調査は以下のとおり実施した。

(1)  調査期間:平成18年10月14日(日) 午前11時〜午後3時30分時(4時間30分)
(2)  調査場所:新大阪センイシティー2号館 5F(大阪市)
           ぶりくら市2007会場

(3)  調査方法:来場者及び出品者は入場パンフレットに同封されたアンケート用紙に記入後、アンケート回収箱に投函することによって回収した。

(4)  回 収 率16.9% (204通/1,207件) 
       内訳: 来場者 175通/1,141名(15.3%) 出品者29通/66組(43.9%)
   なお、アンケートの調査内容は巻末の参考資料を参照願いたい。

)ぶりくら・・・Breeding(Breeder's)Clubの略で、爬虫類両生類を中心としたペット動物の国内繁殖個体流通をめざし、2001年に設立した。毎年秋に国内繁殖個体の展示・即売会である「ぶりくら市」を開催し、野生からの搾取に頼らない国内繁殖個体の流通促進等を目指している。

 

3.調査結果

(1)  基礎事項

1)    年齢・性別・地区(質問は来場者のみ:サンプル数:175)

a.年齢(回答率 99%)
 調査結果はfig.3.1のとおりであり、20代が最も多く33%で、次いで30代の30%、40代の19%となっている。20代と30代で約2/3を占めていることが分かる。

Fig.3.1 来場者の年齢層


b.性別(回答率 94%)
 調査結果はfig.3.2のとおりであり、男性が約2/3、約1/3が女性となっている。


fig.3.2 来場者の性別

c.地区(回答率 78%)
 調査結果はfig.3.3のとおりであり、来場者の大半(83%)が関西地区からの来場者である。次いで関東(7%)、中部(7%)、四国(2%)、中国(1%)となっており、その他は北海道、東北、九州、沖縄は0名であった。

fig.3.3 来場者の地区構成


(2)  外来生物法について(質問は来場者及び出品者:サンプル数:175+29=204)

1)    外来生物法の認知度について

(回答率 99.5%(来場者99.4%、出品者100%)

 調査結果はfig.3.4のとおりであり、来場者及び出品者の9割が「知っている」もしくは「名前程度は知っている」との回答であった。「知っている」と回答したのは全体の70%で(昨年は69%)、特に出品者では97%の出品者が「知っている」と回答しており、出品者(ブリーダー)には外来生物法が、爬虫類・両生類等のブリードに影響を与えるとの認識が一般来場者より高いと考えられる。認知度は昨年と比較して横ばい傾向であるが、これは例年と比較してサンプル数が少ないことに起因する可能性もある。いずれにせよ、本法の普及啓発に関しては継続的に行う必要があると考えられる。

fig.3.4 外来生物法の認知度について(出品者・来場者合計)


2)    外来生物法の認知方法

(回答数 247件(来場者202件、出品者45件))複数回答あり

 調査結果はfig.3.5のとおりであり、外来生物法を知ったきっかけはテレビ・ラジオ・新聞等が86件(全体の約35%)と最も多く、次いで専門誌が66件(同27%)、環境省HP・広報が44件(同18%)となっている。この傾向は昨年度と同じである。専門誌の内容は「ビバリウムガイド」、「クリーパー」誌が多く、インターネットの内容は「All About Japan」が多かった。その他の内容としては「友人から」や「学校」、「ペット店」等が多かった。なお、昨年及び一昨年の傾向と比較すると、ほぼ同じであり、テレビ等のマスコミの影響が大きいことなどがわかる。

fig.3.5 外来生物法の認知方法について(出品者・来場者合計、複数回答可)

(3)  動物愛護管理法について(質問は来場者及び出品者:サンプル数:380+25=405)

1)    動物愛護管理法の改正について

(回答率 97.0%(来場者98.9%、出品者86.2%)

調査結果はfig.3.6のとおりであり、来場者及び出品者の約4分の3が「知っている」との回答であった。動物愛護管理法の改正を知ったきっかけはテレビ42件(全体の約21%)と最も多く、次いでインターネットが29件(同14%)、専門誌が25件(同12%)、環境省HPが23件(同11%)となっている。


fig.3.6 動物愛護管理法の改正について(出品者・来場者合計)

2)    動物取扱業の申請について

(回答数 167件(来場者のみ)

 調査結果はfig.3.7のとおりであり、決めていない人が62件(約37%)と最も多く、次いで申請しないが45件(約27%)、今後登録するが20件(約12%)と、登録に積極的でない人が全体の7割以上を占めていることがわかった。この傾向は昨年と変わらず、登録に資格要件が必要であり煩雑なことや、趣味の範囲での飼育を望んでいることなどが理由として考えられる。

fig.3.7 動物取扱業の申請について
(来場者のみ)

3)    飼育スタイルについて

(回答数 191件(来場者165件、出品者26件))

 調査結果はfig.3.8のとおりであり、もっとも多かったのが「変わらない」で約8割以上であった。変わったと回答したのは16件(約8%)で、ほとんどの人が、法改正前と変わらない飼育スタイルを継続していることがわかった。

Fig.3.8 飼育スタイルについて

(4)  カエルツボカビ症について(質問は来場者及び出品者:サンプル数:175+29=204)

1)    カエルツボカビ症の認知度について

(回答率 100%(来場者100%、出品者100%)

調査結果はfig.3.9のとおりであり、来場者及び出品者の約4分の3が「知っている」との回答であった。カエルツボカビ症を知ったきっかけはテレビ57件(全体の約28%)と最も多く、次いでインターネットが30件(同15%)、専門誌が24件(同12%)、環境省HPが18件(同9%)となっている。


fig.3.9 カエルツボカビ症の認知度について(出品者・来場者合計)

2)    日常の消毒について

(回答数 193件(来場者158件、出品者34件))複数回答あり

 調査結果はfig.3.10のとおりであり、気にしないが54件(約28%)と最も多く、次いで手指の消毒が47件(約25%)、飼育器具の消毒が29件(約15%)と、手指の消毒を忘れるという人を加えると、約1/3の人が消毒に関して無関心であることがうかがえる。


fig.3.10 日常の消毒について
(複数回答あり)

3)    自宅でのカエルツボカビ症の発症について

(回答率 79.4%(来場者80.0%、出品者75.9%))

 調査結果はfig.3.11のとおりであり、疑わしい個体があると答えたのは4件(約2.4%)であった。また、疑わしい個体があったと回答した4件については、2件が病理検査に出したとの回答が得られた。カエルツボカビ症の判定には専門的な判断が必要であるが、疑わしい個体が見られた場合は速やかに病理検査に回すなど、適切な対策を図ることが必要である。

Fig.3.11 自宅でのカエルツボカビ症の発症について

(5)    まとめ

 昨年、一昨年に引き続き、飼育者の立場から見た「外来生物法」の実態について調査を行った。また、動物愛護管理法の改正に伴う飼育者の意識調査やカエルツボカビ症の認知度についても調査を行った。調査結果より、飼育者が外来生物法の施行に対して昨年同様関心が高く、飼育者の大部分が法令に基づき、適切に飼育しようとしていると推察される。また、動物愛護管理法の改正に伴う動物取扱業の取得状況については、来場者では登録(もしくは届出)している人は少なく、全体の約1割程度であった。動物愛護管理法の評価についても賛否両論あり、一概に飼育者サイドが否定的な意見でないこともわかった。今後も引き続き情報提供等の啓発作業を引き続き行って行くことが必要である。また、カエルツボカビ症については認知度が高いにもかかわらず、実際に消毒等を励行している人が比較的少ないように見受けられた。今後、消毒等の励行について、各方面における啓発が重要であると考えられる。

この調査結果が法の運用に際して参考になることを希望する次第である。また、来年度以降についても、具体的な調査要望があれば、それを取り入れた上で調査を行いたいと考えている。

以上

文責 川口晃司

(ぶりくら事務局)

謝辞

 本アンケートにご協力頂いた来場者及び出品者の皆様、調査を行うにあたり、アンケートの企画・立案、配布、回収、集計等にご協力頂いたスタッフ各位、そして本調査に対して多大なる助言を頂いた琉球大学の安川雄一郎氏にこの場を借りてお礼申し上げます。

参考資料

1.アンケート内容