ケアシート例・丁寧版
例:ニホンスッポン

ニホンスッポン ケアシート

【概要】
ニホンスッポン(学名)は、シナスッポン、ヒガシアジアスッポン、
キョクトウスッポンなどとも呼ばれています。
ここでは、日本に生息している種、日本で食べられている種(笑)と言う意味で
ニホンスッポンと呼ぶことにします。
その各種の呼び名の通り、日本、中国に広く分布していますが、
密度が少ないのに加え臆病な性格で人の目に付く前に隠れてしまうため
自然下で見ることはめったにありません。
食用に大量に養殖されているのがこの種ですが、
反面アマチュアの飼育下では、飼育はかなり難しいようで
特によく売られているコインサイズの幼体は
数あるカメの中でも飼育がもっとも難しい部類にはいるとさえ言われています。
また、運良くうまく育てられたとしても 成体の大きさは甲長30cmを超えるほどとなり、
室内の水槽で飼うのはちょっと難しくなってきます。
かわいいからと言って安易に飼育をはじめることは
カメにとっても飼育者にとっても不幸な結果となることがありますので
充分ご注意下さい。
また、大きく育って飼い切れなくなったスッポンを
「日本にいるカメだから」と池などに放逐することも絶対に止めて下さい。
現在養殖・販売されているスッポンは大陸由来と言われ、
日本原産とは種は同じものの遺伝子の系統が異なります。
また、幼少時から飼育下にあるスッポンは
野生環境に適応できない可能性もあります。
飼育をはじめるときは、30年間大型のカメと共に暮らす覚悟を考えて下さい。
また、天災や転勤などどうしても手放さなければならなくなったときは
野に放つのではなく、適切な里親を探すなどしてやって下さい。

【飼育環境】
基本は、水質と紫外線と言われています。
特に幼体のうちは皮膚が弱く、すぐに水カビが発生して死に至ります。
飼育ケージは一般的な水棲カメのレイアウトで構わないでしょう。
完全に身体を乾かすことが出来る陸場と、爬虫類専用蛍光灯
(商品名ではレプルックス、トルーライト、PowerUVB、レプチサン等)は必須です。
そのほか、できれば陸場に、身体を乾かし、暖めることの出来る
白熱球(20〜40W、熱過ぎないように)を照らしてやり、
水中には完全に身体を隠すことが出来るシェルターがあるといいでしょう。
土に潜るのが好きなので、底に細かい目の砂を敷いてやると
喜んで潜って、首だけ出している様子が観察出来るでしょう。
ただし、砂にが汚れが溜まって不潔になりがちなのでご注意下さい。
また、水をきれいにする各種熱帯魚用フィルターがあると
水換えの間隔を遅らせることができます。
飼育水は、水道水で充分です。メダカなど魚と同居させるときは必要ですが
カメだけの場合は汲み置きやカルキ抜きなどは不要です。
カメは肺呼吸のため、えら呼吸と違って塩素を直接体内に取り込むことが多くないからです。
同様に、水中の酸素もあまり必要としません(多少は呼吸できると言われていますが)ので
金魚のようなエアーレーションも必要ではありません。
また、水道水は季節によって温度が変動しますので、
必ず飼育水と温度を合わせて下さい。
爬虫類は急激な温度変化によって簡単に死に至ります。
水温は、室温のままで特に気にしなくても大丈夫と思われますが、
甲長10cm未満の幼体や飼育開始当初は、
熱帯魚用ヒーターなどで 25度程度に保温する方が無難です。
水深は、スッポンの場合、遊泳能力が高いので
15cmぐらい以上の深めにすると、泳ぐ姿を観察出来るでしょう。

【餌】
一般的な水棲カメ用の配合飼料(商品名レプトミン、ひかりクレストタートル等)で充分です。
ホームセンター等で売っているような安い袋入りの“カメの餌”は
安価な分栄養価が低く、長期飼育には不向きと思われます。
時々、ガマルス(乾燥淡水ヨコエビ)をやると
栄養面でもバリエーションとしてもいいと思います。
この他、鯉の餌も喜んで食べます。
ただ、幼体や野生捕獲個体の場合はなかなか配合飼料を食べてくれませんので
イトミミズやアカムシ、小魚等の生餌を使うといいでしょう。
生餌としては、一般には金魚をよく使います。
カメの大きさに合わせて、メダカや小赤等の餌用金魚として売られているものを
水槽に泳がせておけばいいでしょう。
しかし、金魚は栄養面でよくないので、おやつ程度に考えた方がいいと思います。
入手可能なら、ドジョウなどの川魚の方がよい餌になります。

【冬眠】
日本に生息している種なので、通年完全無加温で大丈夫と思われます。
室内無加温で冬季は3か月ほど餌をやらずに
クーリングを行なうことが出来ます。
水温が20度を切ったら、餌をやらないようにします。
寒いと餌を消化できず、腸内で腐って死亡します。
また、いきなりヒーターを切るなどで急に水温が下がると、
やはり身体に大きな無理がかかりますのでご注意下さい。

【繁殖】
※繁殖関連はこの種について文責者が経験していないので
詳しく書くことができません。 クーリングや発情誘発条件、
産卵時期、産卵数、クラッチ数、産卵床の状態、
孵卵環境、孵卵期間、孵化仔を育てる際の餌・環境の注意などの
情報を書けばいいでしょう。

【その他】 特になし

(文責:たっく@事務局)



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